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病気のお話し 002
今回は病気の発見・診断に必要な検査についてのお話しです。
血液検査
貧血になっていないか? 感染症を起こしている可能性はないか? 炎症を起こしていないか?
肝臓や腎臓などの内臓系で疑わしい疾患はないか? 血糖値が乱れてはいないか? 心臓に過度な負担がかかっていないか?
…など、血液検査からはたくさんの情報を得ることができます。
具合が悪くなくても、定期的に検査を実施することをおすすめします。
特に8歳を超えているシニアの子は特に症状がなくてもすでに何かしらの病気を抱えている可能性がとても高く、気づいたときにはかなり進行していた…ということが少なくありません。
早期発見・早期治療を心掛け、できるだけ長い時間を元気に一緒に過ごせるようにしてあげましょう。
なお、当院では春と秋に健診のキャンペーンを行っております。愛犬・愛猫の検診をご検討ください。
尿検査・糞便検査
頻尿や血尿・尿しぶりなどのおしっこの症状があれば尿検査、下痢や血便などのうんちの症状があれば糞便検査を実施しましょう。
「うちに来た時からずっとそうだったから、もともとおなかが弱い子なのかと思ってた」という方でも、実は検査をしてみると腸管に寄生虫がいた…という子もいます。
なお、当院では混合ワクチン接種の際に糞便検査を無料で行っておりますので、その日のうんちを一緒にお持ちください。
画像検査
症状や状況に応じて、レントゲン検査や超音波検査を実施します。
レントゲン検査:心臓病の進行度や肺炎の有無、腫瘍の有無や消化器の異常などを観察することができます。必要に応じてバリウム造影や尿路造影などの造影剤検査に進み、より精密な検査を行うこともあります。
超音波(エコー)検査:レントゲンとは異なり、動的な画像観察が可能です。心臓の拍動や腸の活動など、リアルタイムでの内臓や血流の動きを検査することができます。例えばおなかの中の腫瘍といっても、腫瘍の性質(血管肉腫、腺癌、リンパ腫など)によって生命予後が大きく変わってきます。超音波検査では、血管侵入の有無やどの臓器に属しているかなどを確認することができ、手術の必要性や緊急性の判断材料になります。
循環器検診
高齢の犬では弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症)、猫では肥大型心筋症の発症が多いとされています。これらの病気は犬種/猫種特異性との関連性も強いですが、年齢による影響もあります。
「最近疲れやすい」「猫なのにパンティング(口を開けての呼吸)をしている」「よく咳をしているのを見かける」「うちの犬種では心臓病が多いと聞いたことがあるけど…」などのお心当たりがありましたら、ぜひお早めにご相談ください。
特に心臓超音波検査はできるだけ静かな環境で実施したいので、別途時間を設けての検査になります。ご予約制になりますので、事前にスタッフまでお問合せください。
胸部レントゲン検査:心臓の大きさや肺野の状態を確認します。犬の弁膜症の場合、心臓に負担がかかり続けることにより心臓のサイズが肥大してくることが多く、レントゲン検査でサイズ 計測を行います。
また、上記の状態が続くと肺にまで影響が及び、肺水腫という病態におちいることもあります。肺水腫になると、肺で十分なガス交換ができなくなるために体が酸欠状態になり、最悪 死に至ることすらあります。
血圧測定:人間同様、動物にも高血圧という病態が存在します。血圧が高ければやはり心臓に過度な負担をかけてしまうことにもなります。 さらに、高血圧状態が持続すると網膜剥離や眼球 内出血・腎臓への負担など、他臓器にも悪影響をおよぼします。緊張してしまう病院ではどうしても血 圧が高くなりがちですが、定期的な測定が重要です。
心電図検査:心臓の中できちんと拍動のための電気信号が伝達できているかの検査です。不整脈の有無や房室ブロック(心房から心室への電気信号が途中で途切れてしまっている状態)など を確認することができます。
心音図検査:心臓の雑音の有無を検査します。獣医師が聴診器で聴取している「心雑音」を目視できる形で波形化することで、飼い主様にもわかりやすくご提示することができます。収縮期 雑音/拡張期雑音/連続性雑音など、様々な種類の心雑音があります。
心臓超音波検査:レントゲン検査では心臓の外郭を観察しますが、超音波検査では心臓の内部を観察します。血液の逆流(僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)、心筋の厚みや動き(肥大 型心筋症、拘束型心筋症など)、不自然に心臓の壁が欠損していないか(心房中隔欠損、心室中隔欠損など)などを観察することができます。
心臓病の病態をモニタリングする上でとても大事な検査です。